仏教の国タイの伝統療法
タイ古式マッサージは、タイ王国伝統のマッサージ法です。2019年「ユネスコ世界無形文化遺産」に登録され、世界的な注目を集めました。
タイ古式マッサージの源流は、インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」にあると言われており、紀元前1800年頃の文献には「マッサージは身体を癒し、丈夫にする方法」として記されています。同じくインドで開かれた仏教の伝達とともに、医学的知識も伝えられていきました。
タイ式ヨガ「ルーシーダットン」像。
昔から身体を伸ばして体調を整えていました。
僧侶から村人へ、口伝され発展
タイ古式マッサージの総本山
「ワット・ポー寺院」
タイ王国は国民の9割以上が仏教徒といわれる仏教の国です。「ワット」と呼ばれる仏教寺院が各地にあり、人々にとってコミュニケーションの中心地でした。西洋医学が入ってくるまでは、身体の不調は寺院で手当てしてもらっていました。そして寺院から寺院へ、僧侶から村人へ手当ての技術が口伝され、地域によって独自の手技療法に発展していきました。特に農村地域で、農作業で疲労した身体を癒す方法として、タイ古式マッサージの原型がつくられていったと考えられています。そのためかタイ古式マッサージは脚腰へのストレッチや押圧法のバリエーションが豊富です。
現代のタイ古式マッサージ
一方で、タイ王侯貴族に施す「ロイヤルマッサージ」も発展していきました。
こちらは礼儀を重んじ、ストレッチはわずかで、指圧中心の手技療法として、
宮廷内で伝承されていきました。
現在では民間マッサージと王室マッサージがミックスされ、サロンによって様々なスタイルのタイ古式マッサージが展開されています。